検査科

部門紹介

検査科
検査科について

 当検査科は、病理医2名、検査技師33名(うち会計年度任用職員5名)、検査助手3名で構成され、さまざまな検査を行なっています。患者さんの血液・尿・組織等を調べる検体検査(生化学・免疫・血液・細菌・一般・血清・輸血・病理・細胞診)と患者さんの体自体を調べる生理機能検査(心電図・脳波・肺機能・超音波・神経伝導等)の2つに大きく別れます。医療の高度化と共に臨床検査も高度化しており、臨床検査技師国家資格の他に専門的な認定資格が要求されるようになってきています。当検査科においても、血液・細菌・輸血・病理・細胞診・心電図・エコー・NST・糖尿病の分野で18名の認定技師(1人複数取得含む)を配置しています。迅速かつ正確に検査を行うことで、患者さんが適切な診療を受けられることを目標としています。

生化学検査(検体検査)

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血液は体全体を循環し、栄養分の補給や不要な老廃物を運搬する役割をしています。
このため、血液中の成分を調べることで健康状態を把握することができます。

 生化学検査では、血液や尿などに含まれる蛋白質、脂質、糖質、酵素、電解質などの成分や臓器の調整作用があるホルモン(内分泌)、腫瘍の組織中で著しく増加する成分(腫瘍マーカー)などを測定しています。病気になるとこれらの血液中の成分が通常範囲(基準範囲)より増加したり減少したりするので、病気の診断や治療の判定、病状の経過観察に行われます。この検査により主に肝臓や腎臓など内臓系の異常を推測することができます。
 検査の結果はオンラインで迅速に報告され外来の診察前検査に寄与しています。

搬送機

ダムウェータ

外来採血室、救急科、入院病棟から検体を運ぶ検体搬送機と専用昇降機で効率化に貢献しています。

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MPAM+RAA
(搬送システム+大型回収モジュール)

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FX8

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LUMIPULUSE L2400

蛋白質、脂質、酵素、電解質、無機質などを2台の自動生化学分析装置で処理し検体到着後約30分を目処に結果を報告しています。
その他に搬送システムを用いLUMIPULUSE L2400にて感染症、心筋マーカー、腫瘍マーカー等の項目も同時に測定することが可能です。

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e801

腫瘍マーカーやホルモンを測定する装置

血液ガス分析装置
腎機能、呼吸機能、循環機能細胞代謝の異常を把握することができます。

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Dimension EXL200
薬の効果及び副作用の把握を行う為、薬物血中濃度を測定しています。

一般検査室

一般検査室では尿検査、便検査、髄液検査を行っています。

(1)尿検査

尿中の蛋白、糖、潜血などの定性検査や尿を遠心処理し細胞成分などの有形成分を顕微鏡で観察し腎臓などの病態を調べます。

(2)便検査

消化器官の出血や寄生虫の有無を調べます。

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UF-5000、AUTION MAX AX-4061
尿中の蛋白、糖、潜血などの定性検査と有形成分のスクリーニングを行います。

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HemoTecht AA01
便に含まれるヘモグロビン量とトランスフェリン量を測定し消化器官の出血の有無を調べます。

BC-ROBO

  • 血清検査
    免疫とは体内にウィルスや細菌などの異物が侵入すると、それらに抵抗する抗体という物質を産生します。この抗体を利用して感染症の原因や経過を調べるのが血清検査です。
    さまざまな採血に対応出来るように採血管準備装置を採血室と検体検査室に配置して看護師の採血管準備を軽減しています。

病理検査室

 病理検査室の主な業務内容は、病理診断、術中迅速病理(細胞)診断、細胞診断、病理解剖です。病理医2名、臨床検査技師(細胞検査士3名・認定病理検査技師1名を含む)5名で対応しています。

病理検査室:自動染色機等

臓器の切り出し風景

 病理検査とは、大きく分けて内視鏡検査等で胃や大腸・皮膚等の病変の一部を採取してきて治療方針を決定する生検組織診断と、手術によって摘出された臓器を、肉眼的に観察し病変の広がりや性状を確認したうえで診断に必要な部分を切り出して検査をする手術組織診断があります。提出された臓器を顕微鏡で観察できるように処理したものを病理医が顕微鏡で観察し、炎症か腫瘍なら良性か悪性か等について診断を行います。診断の補助として免疫染色や特殊染色を積極的に行い、質の高い診断を迅速に提供できるよう日々努めています。

組織標本
正常な肺の組織像(HE標本).jpg

正常な肺の組織像(HE標本)

肺癌(腺癌)の組織像(HE標本).jpg

肺癌(腺癌)の組織像(HE標本)

 術中迅速病理診断とは、手術中に提出された検体を凍結させて顕微鏡観察できるように処理し、結果を速やかに執刀医に報告、その結果をもとに手術方針を決定します。

 細胞検査とは、喀痰(肺癌検診)や尿等の体から排泄される細胞を集めたり、子宮頸部から細胞をこすり取ったり(子宮癌検診)、乳腺や甲状腺のしこりに針を刺して細胞を吸い取って細胞を採取してガラスに塗り細胞に色をつけて癌細胞があるかどうかや感染症の原因等を調べる検査の事をいいます。癌の早期発見に役立ち、比較的簡単に検査材料を採取することが出来るため、繰り返し検査が行われることが多くスクリーニングから術中迅速診断、経過観察まで幅広く利用されます。この検査を担当する臨床検査技師は、日本臨床細胞学会による認定試験で認定された技師が担当しています。当院では、婦人科検診を始め全ての細胞診検体で液状検体処理法(LBC法)を導入し、精度向上を務めると共にEBUS-TBNAやCTガイド下生検での検査中の迅速細胞診(ROSE)への対応やセルブロック標本を作製し特殊染色や免疫染色等を併用し質の高い診断が出来るように日々努力しています。

細胞診標本
肺癌の細胞(パパニコロウ染色).jpg

肺癌の細胞(パパニコロウ染色)

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HPV(ヒトパピローマウイルス)が感染した細胞

 病理解剖とは、不幸にして亡くなられた患者さんのご遺体を、ご遺族の承諾のもとに、病死された患者さんのご遺体を解剖させていただくのが「病理解剖」で、剖検ともよばれます。生前の診断は正しかったのか、どのくらい病気が進行していたのか、適切な治療がなされていたのか、治療の効果はどれくらいあったのか、死因は何か、といったことを判断します。解剖で得られた所見は、病理医、臨床医を交えた検討会を開催し、今後の医学の発展と進歩に役立てられます。

血液検査

 血液検査は、大きく3つに分かれます。血算(赤血球・白血球・ヘモグロビン・ヘマトクリット・血小板など)の測定、血液を固めたり溶かしたりする因子(凝固系:PT.APTT.Fbg.等・線溶系:FDP.D-Dimerなど)の測定、もう1つは、形態学的検査です。これらの検査を行なうためにはさまざまな測定装置が必要となります。

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多項目自動血球分析装置 XN-3100
赤血球や白血球・血小板などを測定します。

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全自動血液凝固・線溶測定装置 CN-6000
凝固・線溶系の因子を測定します。

染色した血液標本を観察中

血液中の好中球と単球で沢山見えるのは赤血球です。小さい点に見えるには血小板

末梢血に出現した白血病細胞

骨髄液中の幼若細胞

 写真のように血液を染色して顕微鏡で観察し、正常な細胞か病的な細胞かを調べています。血液中に病的な細胞が見られた患者さんや白血病疑いの患者さんは骨髄検査を行います。
 骨髄検査では、医師が患者さんより採取した骨髄液で形態検査や遺伝子検査などを行います。

細菌検査

 (1)細菌検査では、感染症(食中毒・肺炎・髄膜炎など)の発症又は疑いのある患者さまの検体(喀痰、尿、便、血液、膿、髄液など)から起炎菌(原因菌)を検出し、菌名の同定や薬剤感受性試験(どの薬が効くか)を行います。

 (2)各種検体は、顕微鏡で観察し、細菌の有無、形態などから起炎菌の推定を行います。

ブドウ球菌が白血球に貪食されている(左図)

尿路感染症などで見られる細菌(右図)

 (3)顕微鏡で観察すると同時に、培地(栄養分を持った寒天)に塗布し、培養を行います。
37℃で18~24時間培養し、病原性の疑いのあるコロニー(菌の集落)を検出します。
そのコロニーを用いて、菌名の同定・薬剤感受性試験を行います。そのため、結果が出るまでに2~4日かかります。菌によっては、1週間以上かかる場合もあります。

ブドウ球菌

大腸菌

全自動細菌測定装置
培養した菌を装置にかけて同定と感受性検査を行なっています。

自動血液培養装置
重要な感染症である敗血症は、血液中の細菌を培養し、迅速な報告を心掛けています。
血液の中に細菌がいると1日~3日で陽性となります。

 (4)結核菌をはじめとする抗酸菌検査では、液体培地での自動培養装置を用いることで、培養から薬剤感受性試験までを1ヶ月で報告することを心掛けています。

抗酸菌培養装置

結核菌

遺伝子検査室の一部

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TRCReady-80

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Smart Gene

抗酸菌は培養に時間がかかるため、遺伝子検査も行っています。これによって、結核菌や一部の抗酸菌の存在が数時間から数日でわかります。

その他の検査(迅速検査)
  • インフルエンザウィルス
  • ヒトメタニューモウィルス
  • アデノウィルス
  • マイコプラズマ
  • RSウィルス
  • ロタウィルス
  • A群溶連菌
  • ノロウィルス
  • クロストリジウム抗原
  • 毒素
  • 尿中肺炎球菌抗原
  • 尿中レジネオラ抗原

等の検査を行っています。

これらの検査で病原微生物を検出し、その微生物に有効な薬剤を選択出来るよう臨床側に情報を提供し、患者さんの治療が適切に行なわれるように努めています。

輸血

 輸血とは、血液中の赤血球、血小板、凝固因子等の量的・機能的低下がある場合に、その成分を補充することで臨床症状の改善を図る目的で行います。

 血液は体の組織の一部であり、他人の血液を輸血するということは大きな意味で臓器移植と言えるでしょう。このため、輸血によって得られる効果の裏には常にリスクを伴います。

 輸血部門では、安全な輸血を実施するための検査(血液型検査、不規則抗体検査、交差適合試験等)を行い、輸血による事故や副作用の防止に努めています。また、平成22年10月の新病院開院時には、全自動輸血検査装置を導入し輸血検査の標準化・ヒューマンエラーの防止等より安全なシステムを構築しています。

 平成21年には、日本輸血・細胞治療学会I&A認証施設として認定され、適正で安全な輸血療法を実施しているということが確認されています。また、認定輸血検査技師が2名おり、検査科全体への定期的なトレーニングを実施することでレベルアップに努めています。

全自動輸血検査装置 ECHO LUMENA 2021.jpg

全自動輸血検査装置 ECHO LUMENA

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保冷庫とフリーザー
製剤ごとに保冷庫とフリーザーに保管してあります。

生理検査部門

 生理検査部門は、本館1階の生理検査室で主に心電図、呼吸機能検査、脳波、神経学的検査、聴力検査、超音波検査を行っています。スタッフは、臨床検査技師14名、助手1名の計15名が在籍しています。
 診療科とのカンファレンスや各種学会や勉強会に積極的に参加し、専門的かつ正確な検査結果を提供できるように日々努力しております。

【取得資格状況】2023.4現在

JHRS認定心電図専門士 1名
認定心電検査技師 1名
日本臨床神経生理学会専門技術士(脳波分野、筋電図、神経伝導分野) 1名
超音波検査士(消化器領域) 2名
超音波検査士(体表臓器領域) 1名
超音波検査士(循環器領域) 2名
超音波検査士(血管領域) 1名
血管診療技師 1名

●心電図検査

 心臓が動くときに発生するわずかな電気を波形にして記録します。
 不整脈・心肥大・心筋梗塞・心不全などの診断に役立ちます。検査時間は3-5分程度です。
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●ホルター心電図解析

 24時間心電計を装着して1日の波形を解析します。

●心負荷検査:トレッドミル・心肺運動負荷試験

 心臓の運動負荷検査の1つで心電図、血圧や吸気ガスをモニターしながら心臓に負荷をかけ、安静時には分からない狭心症や不整脈の診断や肺、心臓、筋肉を含めた予備能力を測定する検査です。検査時間は20-40分程度です。

●呼吸機能検査

 肺の容量や弾力性を測定し、レントゲン写真ではわから肺の働きを調べます。
 肺気腫・間質性肺炎・気管支喘息・慢性気管支炎などの診断に役立ちます。検査時間は5-10分程度です。
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●尿素呼気試験

 袋に採取した吸気を用いて胃にピロリ菌が感染していないかを調べる検査です。検査時間は20分です。 尿素2021.jpg

●血圧脈波(ABI)検査

 両腕と両足首に血圧計を巻き、血管の詰まりや硬さを調べる検査です。検査時間は10分程度です。 ABI 2021.jpg

●皮膚灌流圧(SPP)検査

 足先の毛細結果の血流がどれくらいの圧で流れているかを測定する検査です。血圧計が閉まるときに圧迫され痛みを感じることがあります。
検査時間は20分です。
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●脳波

 脳の細胞から出るごく弱い電気信号を波形にして、脳波計で記録する検査です。
 検査時間は約1時間程度です。

●神経伝導検査

 神経を皮膚上で電気刺激し、末梢神経に障害がないかを調べます。
 手根管症候群や肘部管症候群の診断等に役立ちます。

●聴力検査

 耳の聞こえの検査です。低い音から高い音までの7つの音を聴き、その音がどのくらいの大きさで聞こえるかを調べます。
 検査時間は、10-20分です。

●新生児聴力検査(AABR)
 AABRは耳の聞こえのスクリーニング検査です。検査時間は10-30分程度です。
 新生児から生後6か月の乳児を対象としています。他院で出生した乳児も検査可能です。

●終夜睡眠ポリグラフ(PSG)検査

睡眠時無呼吸症候群とは

 睡眠時無呼吸症候群とは睡眠中に無呼吸(10秒以上呼吸が止まってしまう状態)を繰り返す病気です。睡眠中に無呼吸が一定数以上出現している場合、睡眠時無呼吸症候群と診断されます。

検査について

 診断には終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG:Polysomnography)が用いられます。当院では、検査装置を持ち帰りご自宅で検査ができる『簡易型PSG検査』と、仕事帰りに病院へ来て、翌朝病院から仕事を休まずに出勤ができる『精密型PSG検査』を行っています(外来を受診して、事前の検査予約が必要となります)。

  • 簡易型PSG検査
    携帯用の装置をご自宅にお持ち帰り頂き、就寝前にご自身で装着して睡眠中の呼吸・酸素飽和度・心拍数などの記録を行います。
    検査の際には生理検査室で臨床検査技師が装着の手順を説明します。

  • 精密型PSG検査
    検査当日は臨床検査技師が病室でPSGの装置を装着後、就寝して頂きます。検査中は装置をつけたまま トイレに行くことができます。翌日は起床後に看護師が装置を外し、検査の終了となります。

●超音波検査
 人間の耳には聞こえない高い周波数の超音波を対象物に当てて、その反射波から画像化し心臓や腹部、血管の形態や機能を検査しています。
 超音波は人体に無害で繰り返し検査することが出来ます。

【 腹部超音波検査 】

 上腹部領域(肝臓、胆嚢、膵臓、腎臓、脾臓)や消化管等に異常がないか調べる検査です。身近な疾患だと、脂肪肝や各種癌や転移の検索をしています。
 また、通常のエコーでは評価できないような病変に対し、造影剤を使用した造影超音波検査も行っております。
 検査時間は、25~50分です。造影剤使用時は、さらに時間が延長します。

【乳腺超音波検査】

 当検査室では、女性の患者様へ可能な限りの配慮を致します。

 乳頭や脇に何らかの違和感があったり、乳頭から分泌物がある場合や健康診断で異常が指摘された場合に、その原因となる病変を調べることが出来ます。

【甲状腺超音波検査】 

 甲状腺の大きさや形態を見たり、腫瘍の位置や大きさ、性状などを調べる検査です。
 検査時間は、15-30分です。

【心臓超音波検査】

 上腹部心臓の大きさ、動き、血流の評価をします。弁膜症などの心臓の病気を調べる検査です。
 検査時間は30-60分です。

心臓超音波検査1.jpg 心臓超音波検査2.jpg

【 血管超音波検査 】

 頸動脈

 頸動脈における動脈硬化の程度を評価することで、全身の動脈硬化の程度を把握することができます。超 音波検査では、頸動脈の動脈硬化を簡便に調べることが可能です。
 検査時間は、15-30分です。

 下肢静脈

 足のむくみの原因には、深部静脈血栓症(血栓ができる)や静脈瘤(血管がこぶ状に膨らみ浮き出る)などがあります。このむくみの原因を調べる検査です。
 検査時間は、20-40分です。

 下肢動脈

 足の動脈が細くなる(狭窄)と、血液が流れにくくなり、足の指まで血液が十分に流れなくなります。この狭窄の有無を調べる検査です。
 検査時間は、30~60分です。

 腎動脈

 腎臓に流れる動脈が細くなる(狭窄)と、血圧が高くなったり、放置していると腎臓の機能も障害されることがあります。この狭窄の有無を調べる検査です。
 検査時間は、10-30分です。

 その他

 腹部大動脈、バスキュラーアクセス、上肢の動静脈など

【 その他 】

 関節、体表など